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電話が担当者につながるまで――Genesys Cloudの仕組みを初心者向けに解説

はじめに

前回の記事では、「Genesys Cloudとは何なのか?」について紹介しました。

「Genesys Cloud」とは何か – CCアーキテクトBLOG

Genesys Cloudは、電話やチャット、メールなどの問い合わせをまとめて管理できるクラウドサービスです。

では、実際にお客さんがコールセンターへ電話をかけたとき、Genesys Cloudはどのように動いているのでしょうか?

普段、コールセンターに電話をすると、

「お問い合わせありがとうございます」
「〇〇についてのお問い合わせは1番を押してください」

といった自動音声が流れ、その後に担当者へ電話がつながります。

一見すると単純な流れに見えますが、実は担当者につながるまでには、いくつかの仕組みが動いています。

今回は、「お客さんが電話をかけてから担当者につながるまで」を例に、Genesys Cloudの基本的な仕組みを紹介します。

電話が担当者につながるまでの全体像

まずは細かい説明をする前に、全体の流れを見てみましょう。

お客さんが電話をかける ↓ Genesys Cloudが電話を受け付ける ↓ 自動音声で案内する ↓ 問い合わせ内容を判断する ↓ 適切な担当者へ振り分ける ↓ 担当者が空くまで待つ ↓ 担当者が電話に出る ↓ 問い合わせに対応する ↓ 対応内容や履歴を記録する

このように見ると、電話をつなぐだけでもいくつかの処理が行われていることが分かります。

ここからは、それぞれの処理について順番に見ていきます。

  • 1.お客さんが電話をかける

まず、お客さんが企業の問い合わせ窓口へ電話をかけます。

例えば、通販サイトで購入した商品について確認したい場合、

「注文した商品がいつ届くのか確認したい」

といった問い合わせをするために、サポートセンターへ電話をかけます。

電話がかかってくると、コールセンター側では、その電話を受け付けて次の処理へ進めます。

ここでポイントになるのがGenesys Cloudです。

Genesys Cloudは、単純に電話を受けるだけではなく、その電話を適切な窓口や担当者へつなぐための処理を行います。

つまり、

「電話がかかってきた後の交通整理をしてくれる」

と考えると分かりやすいでしょう。

  • 2.自動音声で案内する

電話をかけると、担当者がすぐに電話に出るのではなく、自動音声が流れることがあります。

例えば、

「お問い合わせありがとうございます。」
「商品のご注文については1を押してください。」
「商品の不具合については2を押してください。」
「その他のお問い合わせは3を押してください。」

といった案内です。

このような仕組みをIVR(Interactive Voice Response)と呼びます。

難しそうな名前ですが、簡単に言えば、

「電話をかけたときに流れる自動音声案内」

です。

お客さんが「1」や「2」を押すことで、問い合わせの種類をある程度判断できます。

例えば「商品の不具合については2番」と案内されていて、お客さんが2番を押した場合、

お客さん

「2」を押す

商品の不具合についての問い合わせ

商品トラブルを担当する窓口へ

というように、問い合わせ内容に合わせて次の処理へ進めることができます。

  • 3.問い合わせ内容に応じて振り分ける

問い合わせ内容が分かったら、次は「誰につなぐのか」を決めます。

例えば、コールセンターに次のような担当者がいるとします。

問い合わせ内容担当
商品について商品担当
契約について契約担当
システムトラブル技術担当
その他総合窓口

すべての電話を同じ担当者につないでしまうと、担当者が違う場合に、別の担当者へ電話を転送しなければなりません。

そこで、問い合わせ内容に応じて、最初から適切な担当者や窓口へ電話を振り分けます。

このような「適切な場所へ振り分ける仕組み」を、一般的にルーティングと呼びます。

Genesys Cloudでは、このルーティングをさまざまな条件に応じて設定できます。

例えば、

「商品の問い合わせなら商品担当へ」
「技術的な問い合わせなら技術担当へ」

といったルールを設定しておくことで、電話を自動的に振り分けることができます。

  • 4.担当者が空いていなければ順番待ち

ここまでで「担当者へ電話をつなぐ」準備ができました。

しかし、ここで問題が発生することがあります。

それは、

「担当者が全員電話中だったらどうするの?」

ということです。

例えば、

商品担当A → 電話中
商品担当B → 電話中
商品担当C → 電話中

この状態で新しい電話がかかってきたとしても、すぐに担当者へつなぐことはできません。

そこで、電話を一時的に待たせます。

この「順番待ち」を管理する仕組みがキュー(Queue)です。

イメージとしては、銀行や病院などで受付番号を取って順番を待つのと似ています。

電話① ─┐
電話② ─┼→ キュー(順番待ち) → 担当者
電話③ ─┘

担当者が電話に対応できる状態になると、待っている電話の中から次の電話が担当者につながります。

そのため、キューは、

「担当者が対応できるまで、問い合わせを待たせておく場所」

と考えると分かりやすいでしょう。

  • 5.担当者が電話に出る

担当者が対応できる状態になると、いよいよお客さんと担当者がつながります。

例えば、

「お問い合わせありがとうございます。担当の〇〇です。」

というところから、実際の問い合わせ対応が始まります。

このとき、担当者はお客さんから問い合わせ内容を聞き、必要な情報を確認しながら対応します。

Genesys Cloudを利用することで、電話をつなぐだけでなく、他のシステムと連携して顧客情報などを確認できるようにすることもできます。

例えば、

電話がかかってくる
       ↓
担当者が応答
       ↓
顧客情報を確認
       ↓
問い合わせ内容を確認
       ↓
問題を解決

といった流れです。

  • 6.電話が終わった後もGenesys Cloudは活躍する

ここまで読んで、

「担当者につながったらGenesys Cloudの仕事は終わりなの?」

と思うかもしれません。

実は、電話が終わった後もGenesys Cloudは活用できます。

例えば、

  • 何件の電話があったのか
  • どのくらいの時間対応したのか
  • どの担当者が対応したのか
  • どのような問い合わせだったのか
  • どのくらい待ち時間が発生したのか

など、さまざまな情報を確認・分析できます。

これらの情報を活用することで、

「最近、問い合わせが増えている」
「特定の時間帯に電話が集中している」
「待ち時間が長くなっている」

といったことに気づくことができます。

そして、その結果をもとに、

「この時間帯は担当者を増やそう」
「よくある問い合わせは自動音声やFAQで案内しよう」

といった改善につなげることができます。

  • 7.管理者から見ると何が分かる?

ここでは、電話をかける「お客さん」ではなく、コールセンターを管理する側の視点で見てみましょう。

管理者にとって重要なのは、

「今、コールセンターがどのような状態なのか」

を把握することです。

例えば、

  • 現在何件の問い合わせがあるのか
  • 待っている電話は何件あるのか
  • 担当者は足りているのか
  • どのくらい待たせているのか
  • どのくらいの時間で対応が終わっているのか

などを確認します。

もし「午後になると電話が急激に増える」ということが分かれば、その時間帯に担当者を増やすなどの対策を検討できます。

このように、Genesys Cloudは電話をつなぐためだけの仕組みではなく、コールセンター全体を管理・改善するためにも利用されます。

  • 8.ここまでの仕組みをまとめてみる

ここまで紹介した内容を、もう一度まとめてみましょう。

① お客さんが電話をかける
        ↓
② Genesys Cloudが電話を受け付ける
        ↓
③ IVR(自動音声)で案内する
        ↓
④ 問い合わせ内容を判断する
        ↓
⑤ ルーティングで担当者・窓口を決める
        ↓
⑥ キューで順番待ちする
        ↓
⑦ 担当者が電話に出る
        ↓
⑧ 問い合わせに対応する
        ↓
⑨ 対応履歴やデータを確認・分析する

普段、私たちがコールセンターに電話すると「電話をかけて、担当者と話す」というシンプルな体験に見えます。

しかし、その裏側では、

「受付 → 案内 → 振り分け → 順番待ち → 担当者への接続 → 対応 → 分析」

という複数の処理が行われています。

  • 9.今回登場した用語をおさらい

最後に、今回登場した専門用語を簡単に整理してみます。

用語説明
Genesys Cloud問い合わせ対応を管理するクラウドサービス
IVR「1番を押してください」などの自動音声
ルーティング問い合わせを適切な担当者へ振り分ける仕組み
キュー担当者が対応できるまで順番待ちする仕組み
エージェントコールセンターで問い合わせに対応する担当者

専門用語だけを見ると難しく感じますが、実際の電話の流れと一緒に考えると、それほど難しいものではありません。

まとめ

今回は、「お客さんが電話をかけてから担当者につながるまで」を例に、Genesys Cloudの仕組みを紹介しました。

電話をかけると自動音声が流れ、問い合わせ内容に応じて担当者へ振り分けられます。

担当者がすぐに対応できない場合は、キューで順番を待ち、担当者が対応可能になると電話がつながります。

そして、電話が終わった後も対応履歴や問い合わせ状況などのデータを活用することで、コールセンターの業務改善につなげることができます。

つまりGenesys Cloudは、

「電話を担当者につなぐだけの仕組み」ではなく、問い合わせを受け付けてから、担当者への振り分け、対応、そしてその後の分析までを支える仕組み

と言えるでしょう。

普段何気なく利用しているコールセンターの電話も、その裏側ではさまざまな仕組みが連携して動いています。

Genesys Cloudを知ることで、今まで「電話がつながるだけ」に見えていたコールセンターの仕組みを、少し違った視点から見ることができるようになります。